てんかんの具体的な症状

患者と説明している医者

脳腫瘍による生じる症状は様々です。
脳の機能部位(たとえば手足を動かすことや、言葉を話すなどの機能を担っている場所)を圧迫するとそれに関連した症状が現れますが、腫瘍が大きくなるのがゆっくりである場合はなかなか症状が出にくい場合もあります。
また脳脊髄液の循環を妨げるために、水頭症が生じたりホルモンを分泌する部位の腫瘍では、それに関連する内分泌の症状があらわれてくることもあります。
しかし腫瘍が増大して頭蓋内圧が上昇すると頭痛、嘔吐、意識障害などの頭蓋内圧亢進症状をきたし、生命の危険にさらされます。

近年の脳画像診断技術の進歩により、脳腫瘍の発見は確実になってきています。
高齢者のてんかん患者の中でも脳腫瘍が発見されることがありますが、その頻度はあまり高くないといわれています。
ですが脳腫瘍の高齢者の患者がてんかん症状を伴う場合は、しばしば見受けられます。
カナダのモントリオール神経研究所の約40年間の報告では、すべての脳腫瘍の患者において急性けいれんを含むけいれんの発生頻度は35%であったとしており、この中で頻度が高いのは悪性度の高いタイプの腫瘍であったとしています。
一方慢性に経過しているてんかん患者さんの手術例の中で脳腫瘍であった人の割合は、17%でその多くは悪性度の低い腫瘍であったとしています。

てんかんの症状は腫瘍の発生する場所により様々です。
脳の運動野の近くに発生する場合はジャクソン型発作、側頭葉に発生する場合は精神運動発作、後頭葉の場合は視覚発作などその局在に関連した部分てんかん症状が現れてきます。
早期に脳内の他の部位に伝播することも多く、発作型の判定には慎重を要します。
てんかん症状の検査で脳腫瘍が見つかった場合は、まず薬の内服が必要になってきます。
手術を行う場合は必ずしもてんかんの抑制だけが目的になるだけでなく、組織学的診断を決定することや、その結果から腫瘍の治療方針を決定することが目的になることもあります。

高齢者のてんかんは他の病気と間違えやすい

認知症はかつて痴呆と呼ばれていた病気ですが、2004年に厚生労働省の主導で痴呆という言葉が廃止され認知症に置き換えられました。
認知症はいったん正常に発達した知能が、後天的な脳組織の障害によって低下をきたした状態をいいます。
知能の低下が起こる原因には、脳血管の障害や神経の変性、ビタミンなどの代謝、栄養障害など様々なものがあるため、認知症という症候性の病気としてとらえられています。
日本では以前は血管性認知症が最も多いといわれてきましたが、最近は神経の変性が原因で起こるアルツハイマー型認知症が増加し、認知症の原因疾患としてはもっとも頻度が高くなっています。

認知症では脳の機能が低下することで様々な症状が現れますが、大きくは中核症状と周辺症状に分かれます。
中核症状は物忘れなどの記憶障害や、言葉がしゃべれない理解ができないなどの失語、物を認知できない失認などの認知機能障害などの症状で、認知症患者全員にみられ病気の進行とともに徐々に増悪していきます。
周辺症状は幻覚や妄想などの精神症状や徘徊、暴言、暴力、抑うつや不安などの気分症状を指しています。
認知症の中でも最も頻度の高いアルツハイマー型認知症では、治療法は現在では病気の進行を遅らせる薬を服用する他しかありません。

アルツハイマー型認知症の進行した症例でてんかん発作が高頻度にみられます。
ある研究ではアルツハイマー型認知症の患者の17%にてんかん発作が認められ、そのうち90%は全般てんかん発作であったと報告されています。
部分てんかん発作は少なくなっています。
この全般てんかん発作の治療法としては発作症状に合わせた薬が使用されますが、高齢者が多いため薬剤の血中濃度をチェックして副作用が出ないように注意する必要があります。
認知症と合わさったてんかんのタイプは判断が難しくなっています。
徐々に進んでいく症候性の認知症の中で、特発性の発作が出てくることもあります。
この特発性の発作が認知症と間違えられることもあります。